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Extension = 拡張機能 ≠ プラグイン

Categories: opinion  —  2006/3/22   by dynamis

私が冬眠していた間に Mozilla 界隈は窓の杜が「拡張機能」を「プラグイン」と表記すること(窓の杜問題)について大いに盛り上がっていたようですね。今更ですが、一応関係者として少しばかり私見を。

メディアというものは正しい情報を的確に伝えることが大事ですから、基本的には正しい用語を使用するべきだと思います。しかしその一方で、読者に理解できるようにする必要もあるため、ある程度正確性が損なわれることがあるのも致し方ありません。どの程度厳密に用語を使い分けるかというのは、メディアの方針や想定読者あるいは単に記者の知識や趣味などによる事になるかと思います。

例えばメディアでは「クラッカー」(Cracker: コンピュータに悪さをする暇人)のことを「ハッカー」(Hacker: コンピュータに精通している人)と書くことが多いです。というか、まず間違いなくそんなことは区別してくれていません。世間の普通の人々に「クラッカー」などといっても分かるはずがないですから、仕方ないでしょう。どの分野でも専門用語があるが、それはその分野の中でしか使えないし、使うべきでないということは往々にしてあるものです。

そして、この件について窓の杜さんとしては、「『プラグイン』いう用語くらいは認識しているが、ソフトウェア個別の特殊な用語は知らないし、知ろうとも思わない初心者」を読者として想定しているのではないかと感じます。世間の普通の人々に「拡張機能」などといっても分かるはずがないですから、仕方ないでしょう、と。

なるほど。よく分かります。なるほど。なるほど。なるほど。(^^;

しかし、実のところ「クラッカー」を「ハッカー」と読んでしまうのと、「拡張機能」を「プラグイン」と読んでしまうのとでは大きな違いがあります。確かにどちらも、想定する読者に対して理解してもらえるようにとの配慮でしょう。しかし、「ハッカー」については既に誤用が広く認知されてしまっているのに対し、「プラグイン」については誤用が認知されていることはありません。窓の杜以外では殆ど全て問題なく「拡張機能」と呼ばれているにもかかわらず「プラグイン」と呼び始めたのであり、窓の杜が用語の混乱を招く大元になっているところに問題があるのではないでしょうか。

既に誤用が広く認知されており正しい用語を使用しても伝わらないのであれば、誤った用語を使うことも致し方ないのでしょう。しかし、新たに誤用を生み出すようなことは、正しい情報を伝えることが使命である、メディアが行うべき事ではないでしょう。メディアというのは読者の機嫌をとるばかりではなく、他に率先して正しい日本語と正しい用語を使うべきなのではないでしょうか

もちろん、どこまでも専門用語を厳密に使い分けるべきなのではありません。例えば一般紙では「Alpha リリース」とか「Beta リリース」など細かく区別せずに単に「開発版」とか「テスト版」などと書くのが妥当でしょう。しかし、このような読み替えは厳密ではなくなっても誤ったものではありません。それに対して「拡張機能」を「プラグイン」と呼ぶのは、それらが明確かつ排他的に区別されている用語である以上、誤りといわざるを得ません。

窓の杜さんはいつも初心者に読みやすくするために努力されています。私のようなパソコンオタクの視点ではなく、初心者の視点に立って記事を書こうという一貫した姿勢は素晴らしいものであり、世間でもそれは広く評価されているものと思います。ただ、本件については、少なくとも用語の明確な使い分けを重視して日本語化をしてきている立場としては、改めて「拡張機能」と「プラグイン」は区別していただければと思います。

確かに「拡張機能」は Mozilla 製品の専門用語ですが、窓の杜さんでも特集を組んだり頻繁に新しい拡張機能の紹介をしているのですから、それくらいの区別は読者も受け入れてくれるのではないでしょうか…

追記:

ここに来る人は恐らくもうご存知でしょうが、今後の記事では「拡張機能」と表記してくださるということで、一件落着となりました。ちゃんちゃん。(^^;

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